三宅梨紗子、岡田将平、福冨旅史、安斎耕一
今年3月にオーストリア・ウィーンで開かれる予定だった核兵器禁止条約の第1回締約国会議がコロナ禍の影響で再延期された。国連軍縮部は7月19~21日を新たな日程として仮置きし、調整を続けるという。核兵器廃絶への重要な一歩として期待を寄せてきた広島、長崎の被爆者らからは残念がる声が上がった。
「残念だけど、今の状況では仕方ない」。8歳の時、広島で被爆した宮城県原爆被害者の会会長の木村緋紗子(ひさこ)さん(84)=仙台市=は2日、取材に語った。締約国会議に合わせ、ウィーンへ行くことを希望していた。
原爆で祖父や父ら親族8人を亡くした。被爆者として、二度とあってはならない体験を直接伝えることが重要だと考え、これまでも海外で証言を重ねてきた。「顔が見えないと本音で語り合えない。核軍縮も進まない」。可能であれば会議に参加したいとの思いは揺らがない。
「核兵器廃絶の動きが停滞することが心配」。広島県原爆被害者団体協議会理事長の箕牧(みまき)智之さん(79)は言う。締約国会議に先立って1月に開かれる予定だった核不拡散条約(NPT)再検討会議もコロナ禍で再延期されたためだ。
箕牧さん自身、締約国会議には参加するつもりだったが、1月下旬に体調を崩して一時入院した。「3月だったら行けるかどうかわからなかった」と明かす。
箕牧さんは、核禁条約に加わっていない日本政府に対し、締約国会議にオブザーバー参加するよう訴えてきた。ただ、地元・広島選出の岸田文雄氏が首相になっても政府は否定的な姿勢を変えぬままだ。箕牧さんは「(会議が)延びたから、その間に良い方向に変化が起きることを期待したい」と語った。
締約国会議への参加を検討し…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル